10月1日まで6日|最低賃金・カスハラ・パート有期、最終確認のチェックリスト

労務・法改正

10月1日まで、あと6日。3つの制度、最終確認のチェックリスト

公開日:2026年9月25日 / 株式会社キール

SUMMARY | この記事の結論

10月1日の施行まで1週間を切りました。神奈川県の最低賃金1,279円、カスタマーハラスメント対策の義務化、パート・有期雇用のルール改正。3つが同じ日に始まります。

この記事は、確認のためのチェックリストです。すでに手をつけている方は抜けがないかの確認に、これからの方は残り6日でどこまでやるかの判断に使ってください。

最低限、10月1日に間に合わせるべきは給与計算と相談窓口の2つです。就業規則の改定や契約書の様式変更は、施行後も続けて対応できます。

9月8日に3つの制度の全体像を、9月15日にカスタマーハラスメント対策の実務をお伝えしました。今回は、その最終確認です。

準備が進んでいる会社もあれば、まだ着手していない会社もあると思います。残り6日で全部は終わりません。だから、優先順位をつけます。

0110月1日に間に合わせるもの、後でよいもの

3つの制度で求められる対応を並べると、性質が2つに分かれます。

優先度の整理
10月1日までに必須 給与計算(最低賃金1,279円)
相談窓口を決めて周知(カスハラ対策)
施行後も継続対応可 就業規則への反映(カスハラ対策)
雇用契約書の様式変更(パート・有期)
現場の対応基準づくり(カスハラ対策)

※雇用契約書の様式は、10月1日以降に新たに雇い入れる従業員から必要になります。直近で採用予定がなければ、多少の猶予があります。

POINT|なぜこの2つが必須か

給与計算は、10月1日以降の労働分から法令違反が生じるためです。相談窓口は、決めて伝えるだけなら1日で終わるうえ、カスハラ対策の措置義務の中核だからです。

02給与計算のチェック

時給制の全員が1,279円以上になっているか

神奈川県内の事業場で働く従業員が対象です。本社が県外でも、勤務地が県内なら神奈川県の最低賃金が適用されます。

月給制の社員を、時間額に換算して確認したか

月給から精皆勤手当・通勤手当・家族手当・時間外割増賃金を除いた額を、1か月の所定労働時間で割ります。所定労働時間が長い会社や、諸手当の比率が高い会社では下回ることがあります。

適用の区切りを「働いた日」で設定したか

9月に働いた分は1,225円、10月1日以降に働いた分から1,279円です。支払日ではありません。月をまたぐ締めの場合、計算が分かれます。

改定する場合、本人に通知したか

賃金額の変更は労働条件の変更にあたります。書面での通知が望ましいとされています。

03カスタマーハラスメント対策のチェック

相談窓口を決めたか

専門部署は不要です。社長自身が窓口でも構いません。決まっていることが要件です。

従業員に周知したか

決めただけでは足りません。誰に相談すればよいかを、従業員が知っている状態にします。朝礼での説明、書面の配布、掲示、いずれでも構いません。

方針を明確にしたか

カスタマーハラスメントには毅然と対応し、従業員を守るという会社の姿勢を示します。就業規則への記載が基本ですが、規則がない場合は書面や掲示でも構いません。

相談による不利益取扱いの禁止を明示したか

相談したことを理由に、配置や評価で不利に扱わない旨を伝えます。これがないと、窓口があっても使われません。

起きたときの対応手順を決めたか

事実確認、被害を受けた従業員への配慮、再発防止。誰が判断し、どの段階で対応を打ち切るか。完璧な線引きは不要で、「この場合はこうする」が一つでもあれば機能します。

POINT|猶予期間はありません

パワーハラスメント防止措置のときにあった中小企業向けの猶予期間は、今回設けられていません。従業員を1人でも雇っていれば、10月1日から対象です。

04パート・有期雇用のチェック

雇用契約書・労働条件通知書の様式を確認したか

雇入れ時の明示事項に、待遇の相違の内容や理由について説明を求めることができる旨が追加されます。10月1日以降の新規雇入れから必要です。

家族手当・住宅手当の支給要件を確認したか

同一労働同一賃金ガイドラインの改正で、これらの手当の考え方が明確化されます。正社員のみに支給している場合、その理由を説明できるかを確認します。

夏季・冬季休暇の付与基準を確認したか

こちらもガイドライン改正の対象です。雇用形態による差がある場合、その説明が求められる可能性があります。

派遣を受け入れている場合、Q&A等を確認したか

派遣労働者の同一労働同一賃金についても、厚生労働省がQ&Aや様式集を更新しています。

0510月1日を過ぎてからやること

施行日に全部が終わる必要はありません。むしろ、10月以降に腰を据えて取り組んだ方がよいものもあります。

  • 就業規則の正式な改定──労働者代表の意見聴取と労働基準監督署への届出が必要です。10人未満の事業場では届出義務がありませんが、方針の明文化は有効です。
  • 現場の対応基準の具体化──時間で区切る、言動で区切る、一人にしない、記録を残す。運用しながら調整していく部分です。
  • 従業員への研修──カスハラへの対応方法を、実際の場面に即して共有します。
  • 賃金体系の見直し──最低賃金の引上げが続く前提で、賃金テーブル全体の設計を検討する会社もあります。

06体制を整えたうえで

法令上の対応を終えても、リスクがなくなるわけではありません。

カスタマーハラスメントであれば、対応を尽くしても従業員が心身に不調をきたす場合があります。その際、会社の対応が十分だったかを問われ、民事上の責任を求められる可能性も残ります。

こうした賠償リスクには、雇用慣行に関する賠償責任保険といった手段があります。ただ、順序として先に来るのは、ここまで挙げた体制の整備です。

まとめ

  • 10月1日までに必須なのは、給与計算と相談窓口の2つです。
  • 就業規則の改定、契約書の様式変更、現場の基準づくりは、施行後も続けて対応できます。
  • カスハラ対策に中小企業の猶予期間はありません。従業員を1人でも雇っていれば対象です。
  • 最低賃金の適用は、支払日ではなく働いた日が基準です。

よくあるご質問

10月1日に間に合わなかった場合、どうなりますか。
最低賃金を下回る賃金を支払った場合は、差額の支払義務が生じ、罰則の対象にもなり得ます。カスタマーハラスメント対策については、都道府県労働局による助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性があります。間に合わない部分があっても、着手していること自体に意味があります。
就業規則がない会社は、どうすればよいですか。
常時10人以上の労働者を使用する事業場には作成義務がありますが、それ未満の場合でも、カスタマーハラスメントに関する方針を明確にし、従業員に周知することが求められます。社内文書や書面での通知など、方針が伝わる形であれば構いません。
相談窓口は、何を準備すればよいですか。
担当者を定め、その連絡方法を従業員に伝えることが基本です。専用の電話やメールアドレスを用意する必要はなく、「困ったときは社長に直接言ってよい」と伝わっていれば要件を満たし得ます。相談内容の記録方法も、あわせて決めておくとよいでしょう。
9月末締め・10月払いの場合、最低賃金はどうなりますか。
9月に働いた分には改定前の1,225円が適用されます。適用は支払日ではなく、実際に労働した日を基準とするためです。10月1日以降に働いた時間から1,279円以上となります。
パート・有期の契約書は、既存の従業員も巻き直しが必要ですか。
今回の改正は雇入れ時の明示事項に関するものであり、10月1日以降に新たに雇い入れる従業員が対象です。既存の契約を一律に巻き直す必要はありませんが、契約更新のタイミングで様式を新しいものに切り替えていく形が実務的です。
真下 恭徳(ました やすのり)/株式会社キール 代表取締役
AIG損害保険 横浜ICAにて法人リスクコンサルティング(ISO31000)に従事。健康経営アドバイザー。株式会社キールは、経済産業省「事業継続力強化計画」認定事業者、IPA「SECURITY ACTION」宣言事業者です。「向かい風を、推進力へ。」を掲げ、神奈川県央の中小企業を、リスクの上流から支えています。

準備の進め方や、体制の整理について、ご相談を承っています。

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【出典】神奈川労働局「令和8年度『神奈川県最低賃金』を改正決定します」(2026年8月27日公表)/厚生労働省告示第51号(2026年2月26日)/改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)/厚生労働省Webマガジン「2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります」(2026年8月3日公表)
本記事は2026年9月25日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定の保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。個別の実務判断については、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。