10月1日まで、あと6日。3つの制度、最終確認のチェックリスト
10月1日の施行まで1週間を切りました。神奈川県の最低賃金1,279円、カスタマーハラスメント対策の義務化、パート・有期雇用のルール改正。3つが同じ日に始まります。
この記事は、確認のためのチェックリストです。すでに手をつけている方は抜けがないかの確認に、これからの方は残り6日でどこまでやるかの判断に使ってください。
最低限、10月1日に間に合わせるべきは給与計算と相談窓口の2つです。就業規則の改定や契約書の様式変更は、施行後も続けて対応できます。
9月8日に3つの制度の全体像を、9月15日にカスタマーハラスメント対策の実務をお伝えしました。今回は、その最終確認です。
準備が進んでいる会社もあれば、まだ着手していない会社もあると思います。残り6日で全部は終わりません。だから、優先順位をつけます。
0110月1日に間に合わせるもの、後でよいもの
3つの制度で求められる対応を並べると、性質が2つに分かれます。
| 10月1日までに必須 |
給与計算(最低賃金1,279円) 相談窓口を決めて周知(カスハラ対策) |
|---|---|
| 施行後も継続対応可 |
就業規則への反映(カスハラ対策) 雇用契約書の様式変更(パート・有期) 現場の対応基準づくり(カスハラ対策) |
※雇用契約書の様式は、10月1日以降に新たに雇い入れる従業員から必要になります。直近で採用予定がなければ、多少の猶予があります。
給与計算は、10月1日以降の労働分から法令違反が生じるためです。相談窓口は、決めて伝えるだけなら1日で終わるうえ、カスハラ対策の措置義務の中核だからです。
02給与計算のチェック
神奈川県内の事業場で働く従業員が対象です。本社が県外でも、勤務地が県内なら神奈川県の最低賃金が適用されます。
月給から精皆勤手当・通勤手当・家族手当・時間外割増賃金を除いた額を、1か月の所定労働時間で割ります。所定労働時間が長い会社や、諸手当の比率が高い会社では下回ることがあります。
9月に働いた分は1,225円、10月1日以降に働いた分から1,279円です。支払日ではありません。月をまたぐ締めの場合、計算が分かれます。
賃金額の変更は労働条件の変更にあたります。書面での通知が望ましいとされています。
03カスタマーハラスメント対策のチェック
専門部署は不要です。社長自身が窓口でも構いません。決まっていることが要件です。
決めただけでは足りません。誰に相談すればよいかを、従業員が知っている状態にします。朝礼での説明、書面の配布、掲示、いずれでも構いません。
カスタマーハラスメントには毅然と対応し、従業員を守るという会社の姿勢を示します。就業規則への記載が基本ですが、規則がない場合は書面や掲示でも構いません。
相談したことを理由に、配置や評価で不利に扱わない旨を伝えます。これがないと、窓口があっても使われません。
事実確認、被害を受けた従業員への配慮、再発防止。誰が判断し、どの段階で対応を打ち切るか。完璧な線引きは不要で、「この場合はこうする」が一つでもあれば機能します。
パワーハラスメント防止措置のときにあった中小企業向けの猶予期間は、今回設けられていません。従業員を1人でも雇っていれば、10月1日から対象です。
04パート・有期雇用のチェック
雇入れ時の明示事項に、待遇の相違の内容や理由について説明を求めることができる旨が追加されます。10月1日以降の新規雇入れから必要です。
同一労働同一賃金ガイドラインの改正で、これらの手当の考え方が明確化されます。正社員のみに支給している場合、その理由を説明できるかを確認します。
こちらもガイドライン改正の対象です。雇用形態による差がある場合、その説明が求められる可能性があります。
派遣労働者の同一労働同一賃金についても、厚生労働省がQ&Aや様式集を更新しています。
0510月1日を過ぎてからやること
施行日に全部が終わる必要はありません。むしろ、10月以降に腰を据えて取り組んだ方がよいものもあります。
- 就業規則の正式な改定──労働者代表の意見聴取と労働基準監督署への届出が必要です。10人未満の事業場では届出義務がありませんが、方針の明文化は有効です。
- 現場の対応基準の具体化──時間で区切る、言動で区切る、一人にしない、記録を残す。運用しながら調整していく部分です。
- 従業員への研修──カスハラへの対応方法を、実際の場面に即して共有します。
- 賃金体系の見直し──最低賃金の引上げが続く前提で、賃金テーブル全体の設計を検討する会社もあります。
06体制を整えたうえで
法令上の対応を終えても、リスクがなくなるわけではありません。
カスタマーハラスメントであれば、対応を尽くしても従業員が心身に不調をきたす場合があります。その際、会社の対応が十分だったかを問われ、民事上の責任を求められる可能性も残ります。
こうした賠償リスクには、雇用慣行に関する賠償責任保険といった手段があります。ただ、順序として先に来るのは、ここまで挙げた体制の整備です。
まとめ
- 10月1日までに必須なのは、給与計算と相談窓口の2つです。
- 就業規則の改定、契約書の様式変更、現場の基準づくりは、施行後も続けて対応できます。
- カスハラ対策に中小企業の猶予期間はありません。従業員を1人でも雇っていれば対象です。
- 最低賃金の適用は、支払日ではなく働いた日が基準です。
よくあるご質問
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【出典】神奈川労働局「令和8年度『神奈川県最低賃金』を改正決定します」(2026年8月27日公表)/厚生労働省告示第51号(2026年2月26日)/改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)/厚生労働省Webマガジン「2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります」(2026年8月3日公表)
本記事は2026年9月25日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定の保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。個別の実務判断については、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

