- 交通死亡事故は、日の入りと重なる17時台から19時台に多く発生しています。警察庁は日の入り前後1時間を「薄暮時間帯」と呼び、注意を呼びかけています(出典:警察庁)。
- 薄暮時間帯に最も多いのは、自動車と歩行者が衝突する事故です。時間当たりの死亡事故件数で見ると、昼間の約4倍にのぼるとされています(出典:内閣府 交通安全白書)。事故の約8割は歩行者の横断中に起きています。
- 夕方の帰社・配送と、歩行者の帰宅が重なる時間帯こそ、業務運転の正念場です。目が暗さに慣れるまでの「見えているつもり」が、発見の遅れを生みます。
- 主役は、早めのライト点灯・速度の調整・工程の余裕という行動の備え(リスクの低減)です。交通事故データマップでは、自社エリアの夕方・夜の事故傾向を時間帯で絞り込んで確認できます。尽くしても残るリスクには移転(保険など)も組み合わせます。
夕暮れの2時間が、いちばん危ない。薄暮・夜間の業務運転リスクと、今日からできる備え
一日の業務の終盤、夕方の帰社や最後の配送。「あと少しで終わり」という時間帯に、実は交通事故のリスクは最も高まります。
結論から申し上げると、交通死亡事故は、日の入りと重なる17時台から19時台に多く発生しています。警察庁は、日の入り前後1時間の「薄暮時間帯」に自動車と歩行者の事故が増えるとして、継続的に注意を呼びかけています。しかもこの時間帯は、多くの企業にとって、営業車の帰社・配送の追い込み・現場からの引き上げが重なる、業務運転のピークでもあります。
出典:警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」、内閣府「交通安全白書」。数値・傾向は全国統計であり、地域・年により異なります。
本コラムは、不安を煽るためのものではありません。「向かい風を、推進力へ」——一日のうちで最も危ない時間帯を知り、その2時間の走り方を変えるための情報提供です。
課題の深掘りと、見落としがちなリスクの可視化
なぜ、夕暮れどきに事故が集中するのか。三つの要因を整理します。
人の目は、明るさの変化に慣れるまで時間がかかります。夕暮れどきは、ドライバーが「まだ見える」と感じていても、実際には歩行者や自転車の発見が遅れがちです。歩行者の側からは車のライトが見えていても、ドライバーからは歩行者が見えていない——このズレが、薄暮時間帯の事故の核心です。
警察庁の分析では、薄暮時間帯には自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く、その約8割が横断中に起きています。さらに、横断場所の約7割は横断歩道以外とされています。つまり「横断歩道ではない場所を、歩行者が渡ってくるかもしれない」という前提での運転が求められます。時間当たりの死亡事故件数で見ると、薄暮時間帯の自動車対歩行者の事故は、昼間の約4倍にのぼるとされています。
夕方は、一日の運転の疲れがたまり、集中力が落ちやすい時間帯です。加えて、「早く戻りたい」「今日中に終わらせたい」という気持ちが、速度や確認の甘さにつながります。帰宅ラッシュで交通量も増える。視界・疲労・交通量という三つの悪条件が、この2時間に重なるのです。
- 交通死亡事故は 17時台〜19時台 に多く発生(日の入りと重なる時間帯)
- 薄暮時間帯の自動車対歩行者の死亡事故(時間当たり)は、昼間の 約4倍
- 歩行者事故の 約8割が横断中、横断場所の約7割は横断歩道以外
- 日没が早まる 10月〜12月 は、特に多く発生
※出典:警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」、内閣府「交通安全白書」。全国統計に基づく傾向です。
これらは、時間帯というはっきりした形でリスクが見えている分、行動を変えて備えやすいものでもあります。問題は、「いつもの夕方」として、昼間と同じ運転を続けてしまうことにあります。
事故が起きる前に。今日から実践できる「リスク低減」の備え
キールが本質と考えるのは、事故が起きてからの対応ではなく、起こさせない備えです。ISO31000の「回避・低減・移転・保有」(避ける・減らす・移す・受け入れる)でいえば、薄暮対策の中心は低減です。今日から着手できる備えを挙げます。
1. ライトは「暗くなる前」につける
早めのライト点灯は、自分が見るためだけでなく、歩行者や他の車に自分の存在を知らせるためのものです。「まだ見えるから」ではなく、日の入りの前から点灯する。これを個人の判断ではなく、会社のルールにしておくことが、いちばん簡単で効果的な低減策です。対向車や先行車がいない場面では、ハイビームを上手に使うことも、遠くの歩行者の早期発見につながります。
2. 夕方の工程に「余裕」を組み込む
17〜19時台に運転が集中しない工程を意識します。最後の訪問や配送を詰め込みすぎない、帰社時間に幅をもたせる——「急がなくていい状態」をつくることが、速度と確認の余裕を生みます。夕方の運転が多い業務では、この時間帯だけ意識的に速度を落とすことを、朝礼やKY(危険予知)で共有しましょう。
3. 自社エリアの「夕方・夜に事故が多い場所」を知っておく
事故が起きやすい場所は、時間帯によって変わります。次に紹介する交通事故データマップでは、朝・日中・夕方・夜の時間帯で絞り込めるので、自社の営業・配送エリアで、夕方や夜に事故が多い傾向の場所を確認できます。「この道は夕方が要注意」を、チームの共通認識にしておくことが、具体的な備えになります。
そして、これらを尽くしてもなお残る残存リスク——たとえば高額な人身賠償など——には、「リスクの移転(保険など)」も会社の備えの一つとして組み合わせます。主役はあくまで行動と体制による低減であり、移転はそれを補う一つの手段です。
出発前の確認に。「交通事故データマップ」の活用
キールの交通事故データマップは、時間帯(朝・日中・夕方・夜)での絞り込みに対応しています。「夕方」「夜」を選べば、自社の営業・配送エリアで、その時間帯に事故が多い傾向の場所を確認できます。警察庁「交通事故統計情報のオープンデータ」(2019–2024)を独自に加工した、無料・登録不要のツールです。
住所の入力、現在地の捕捉、地図のタップで中心地点を指定し、半径や、時間帯・曜日・重大度・事故タイプ・発生年度・天候・路面状態で絞り込めます。夕方の運転が多い日の朝、ルート上の「夕方に弱い場所」を確認するKY(危険予知)の道具としてご活用ください。表示は過去の統計に基づく目安であり、特定地点の将来の安全を保証するものではありません。現地の交通規制と最新の状況を最優先にお願いします。
【無料・登録不要】時間帯でも絞り込める「交通事故データマップ」はこちら 住所・現在地・地図タップで中心を指定 / 警察庁オープンデータ(2019–2024)これは保険の勧誘ですか?
いいえ。本コラムは、薄暮・夜間の事故を未然に防ぐ(リスクの低減)ための情報提供です。残存リスクへの備えとして「リスクの移転(保険など)」に触れていますが、特定の商品をおすすめしたり、加入を促したりするものではありません。
薄暮時間帯とは、何時ごろのことですか?
警察庁では、日の入り前後1時間を薄暮時間帯としています。季節によって変わりますが、交通死亡事故は17時台から19時台に多く発生しており、日没が早まる10月から12月は特に注意が必要とされています。
交通事故データマップで、夕方の傾向は分かりますか?
はい。時間帯(朝・日中・夕方・夜)で絞り込めるので、「夕方」「夜」を選んで、自社エリアでその時間帯に事故が多い傾向の場所を確認できます。夕方の運転が多い日の出発前のKY活動にご活用ください。
夕方・夜間の運行ルールや安全運転管理は、自社の業務の時間帯や走るエリアに合わせて整えることで、より確実になります。「うちの運用で抜けはないか」を一緒に整理したい経営者・安全運転管理者の方は、法人向けのご相談窓口からお気軽にお問い合わせください。
法人のお客様 お問い合わせ・ご相談はこちらISO31000を基準としたリスクコンサルティング / ご相談は無料です

