SUMMARY 記事のまとめ
新しい機械を入れて生産力を上げる。製造業にとって設備投資は「攻め」の一手です。でも、設備が増えるほど、火災・故障・災害で「失うもの」も増えます。本記事は解説シリーズ第4回。補助金で「攻め」、保険で「守る」――設備投資とリスク対策をセットで考える方法を、現場の言葉でやさしく整理します。
この記事の要点(3行)
① 設備投資は「攻め」。でも設備が増えるほど、守るべきものも増える。
② いちばん見落としがちなのは、設備が止まっている間に消える「売上と利益」。
③ 「補助金で攻め、保険で守る」をセットで考えるのが賢い設備投資。
設備投資は「攻め」、でも「守り」も増える
POINT
国も設備投資の拡大を後押ししています。古い設備を使い続けるのは、効率が落ちるだけでなく、故障や事故のリスクも高めます。設備の更新は、攻めであると同時にリスクを減らす一手でもあります。
古くなった機械を、だましだまし使い続けていないでしょうか。新しい設備を入れれば生産力は上がりますが、まとまったお金もかかる。多くの経営者が悩むところです。
ものづくり白書2026は、競争力を保つために設備の更新・増強が欠かせないと指摘しています。国も設備投資を後押しする方針で、民間の設備投資額は増加が続いています。古い設備を使い続けることは、効率が落ちるだけでなく、故障や事故のリスクも高めます。つまり設備投資は、攻めの一手であると同時に、リスクを減らす手段でもあるのです。
生産力・競争力を高める
火災・故障・災害から守る
保険で守る
設備が増えると、「失うもの」も増える
POINT
設備という資産は、火災・自然災害・突然の機械故障にさらされます。さらに見落としがちなのが、設備が止まっている間に消える売上と利益。これが設備そのものの損害を上回ることもあります。
設備を入れて資産が増えるということは、その分守るべきものが増えるということです。製造業の設備が抱える主なリスクは、次の4つです。
多くの経営者が見落とすのが、最後の「止まっている間に消える売上・利益」です。焼けた機械や建物そのものの損害(直接の損害)には目が行きますが、操業が止まっている間に失われる売上・利益(間接の損害)は、しばしばそれを上回ります。設備は直せても、その間の資金繰りで会社が傾く――これが本当に怖いところです。
「減らす」で備え、「保険で移す」で守る
POINT
日々の点検やBCPでリスクを「減らし」、それでも残る火災・故障・災害は保険で「移す」。新しい設備を入れるときこそ、その設備をどう守るかをセットで考えるのが賢い判断です。
設備リスクへの備えも、「まず減らす → 残りは保険で移す」の2段構えが基本です。残ってしまう代表的なリスクと、その備えを整理しました。
| 残るリスク | どんなこと? | 備えの選択肢(保険で移す) |
|---|---|---|
| 火災・ 災害 | 火災・地震・水害で、建物・設備・在庫が壊れる | 火災保険(地震補償など)/壊れた損害に備える |
| 機械の 故障 | 主要な設備の、突然・思わぬ故障や破損 | 機械保険・設備総合補償/機械の損害に備える |
| 操業 停止 | 設備が止まって操業できず、利益を失う | 企業費用・利益総合保険(休業補償)/止まっている間の損失に備える |
「減らす」のは、日々の点検・保全、防災対策、BCP(事業を止めない計画)づくりです。これで起きる確率と被害を抑えたうえで、それでも残る火災・故障・災害を保険で「移す」。新しい設備を入れるときこそ、その設備をどう守るかをセットで考えるのが、賢い経営判断です。
補助金で「攻め」、保険で「守る」
POINT
国は、省エネ補助金や賃上げ促進税制など、設備投資を後押しする仕組みを用意しています。これらで負担を抑えて攻める一方、高額な設備こそ保険で守る。この両輪を意識しましょう。
設備投資にはまとまったお金が必要ですが、それを後押しする仕組みもあります。代表的なのが、省エネ設備への更新を支援する補助金や、賃上げ促進税制などです。こうした制度を使えば、負担を抑えながら設備を新しくできます。
ただし、補助金で導入した高額な設備ほど、火災や故障で失ったときの損害も大きくなります。だからこそ「補助金で攻め、保険で守る」。この両輪を意識すると、設備投資を安全に成長へつなげられます。なお、補助金・税制の中身は年度ごとに変わるため、最新の制度は中小企業庁や所管省庁の情報、または専門家にご確認ください。
まとめ:設備投資の「攻め」と、設備リスクの「守り」
ものづくり白書2026を入り口に、設備投資の必要性と設備リスクへの備えを整理しました。要点を振り返ります。
- 国は競争力強化のため設備投資の拡大を後押ししている
- 設備を持つことは火災・災害・機械故障のリスクを抱えること
- 設備停止で消える売上・利益は、設備そのものの損害を上回ることもある
- 点検・BCP(減らす)と、火災・機械・休業補償(保険で移す)を組み合わせる
- 補助金で「攻め」、保険で「守る」――投資とリスク対策はセットで考える
株式会社キールは、ISO 31000 基準のリスクコンサルティングを強みとする、神奈川県大和市の法人専門の保険代理店です。製造業の経営者さまに、設備投資に伴うリスクの見える化から、火災・機械・休業補償を含む最適なご提案まで、初回無料で承っています。
「新しい設備を入れるが、どんな保険で守ればいいかわからない」「いまの火災保険で、止まっている間の損失まで対象なのか不安」。そんなご相談を、お気軽にお寄せください。御社の大切な設備と、その先の利益を守る備えを、一緒に設計します。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 火災保険に入っていれば、工場の設備リスクは十分に守れていますか?
火災保険は、建物・設備・在庫の火災や自然災害などによる損害に備える基本の保険ですが、それだけでは足りないことがあります。第一に、地震による損害は通常の火災保険では対象外のことが多く、地震補償の特約などが必要です。第二に、機械の突然の故障は火災保険ではなく機械保険の出番です。第三に、いちばん見落とされやすいのが、操業が止まっている間の売上・利益の損失で、これは休業補償(企業費用・利益総合保険)で備えます。いまの火災保険がどこまでをカバーしているか、地震・機械故障・休業損失に穴がないかを確認することをおすすめします。
Q2. 「止まっている間に消える売上・利益」とは具体的にどういうものですか?なぜ重要なのですか?
たとえば工場が火災にあったとき、焼けた建物や設備の損害(直接の損害)に目が行きがちです。でも実際には、設備を直して操業を再開するまでの数か月間、製品を作れず売上が立たない期間が生まれます。その間も、従業員の給与や家賃などの固定費は出ていきます。この「得られるはずだった利益+出ていく固定費」が、止まっている間に消える損失です。復旧に時間がかかるほどふくらみ、設備そのものの損害額を上回ることもあります。直接の損害だけに備えていて休業損失への備えがないと、被災後に資金繰りが行き詰まり、設備は直せても会社が立ち行かなくなるおそれがあります。
Q3. 補助金を使って高額な設備を導入する予定です。保険面で注意すべきことはありますか?
補助金で入れた設備も、火災や故障のリスクは普通の設備と変わりません。むしろ高額な設備ほど、失ったときの損害が大きくなります。注意点は3つ。第一に、新しい設備を入れたら保険の対象になっている資産や保険金額を見直し、補償の漏れをなくすこと。第二に、設備の買い直しに必要な金額(再調達価額)に見合った保険金額にして、いざというとき十分な補償を受けられるようにすること。第三に、新しい設備が止まると事業全体にどう響くかを考え、休業補償の必要性も検討することです。設備の導入と保険の見直しは、セットで進めるのが安全です。
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