高齢化と安全 ── データで見る、警備業を支える高年齢の担い手

警備業の高齢化と安全への配慮を示す図版 警備業の安全とリスクマネジメント | 高齢化と安全
SUMMARY | 記事のまとめ
  • 令和7年、警備業の労働災害の被災者は、60歳以上が57.0%、65歳以上で43.9%、75歳以上でも15.9%を占めます。
  • これは担い手が高年齢層に偏っていることの反映です。経験豊かなベテランが現場を支えている実態が、災害の年齢構成にも表れています。
  • 2026年4月から高年齢労働者への配慮が全企業の努力義務に。配置・休憩・環境を整えることは、安全と人材の定着の両方につながります。

警備の現場は、経験を積んだ高年齢の方々に大きく支えられています。そのベテランの隊員が、安全に、長く働き続けられるように。まずは警備業の年齢構成と、それに伴う災害の傾向を、客観的な数字で押さえます。

このコラムの根拠データ 厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」(令和8年5月)にもとづきます。数値は、警備業の休業4日以上の死傷災害です。

データで見る ── 警備業の高齢化

令和7年、警備業で労働災害にあった人を年齢で見ると、その偏りは他業種より際立っています。

57.0%
死傷のうち
60歳以上
43.9%
死傷のうち
65歳以上
15.9%
死傷のうち
75歳以上

被災者の57.0%が60歳以上、65歳以上に限っても43.9%、75歳以上だけでも15.9%を占めます。これは、警備業の担い手が高年齢層に大きく偏っていることの反映でもあります。人手不足が続くなかで、経験豊かなベテランが現場を支えている——その実態が、災害の年齢構成にも表れています。

なぜ年齢が関わるのか

加齢にともない、とっさのバランスが取りにくくなり、転倒しやすく、回復にも時間がかかりがちです。暑さへの耐性にも個人差が大きくなります。警備業に多い「転倒」「熱中症」「腰痛」は、いずれも年齢の影響を受けやすい災害です。

ただし、これは「高年齢の方は危険だ」という話ではありません。経験に裏打ちされた判断力は、現場の大きな財産です。論点は、その力を活かしながら、年齢に応じた環境をどう整えるか、という点にあります。

国の方向性 ── エイジフレンドリー

国も、この方向に動いています。厚生労働省は、高年齢労働者が安全に働けるよう「エイジフレンドリー」の考え方(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)を示してきました。さらに2026年4月からは、高年齢労働者や、治療をしながら働く人への配慮が、すべての企業で努力義務となりました。高齢の担い手が多い警備業は、まさにその中心にある業種です。施行の時期や内容は、厚生労働省の資料でご確認ください。

現場でできる配慮

年齢に応じた配慮は、特別なことではなく、日々の運用の工夫として実現できます。

配慮の要点
  • 配置:体力や体調に応じた業務・時間帯の割り当て。無理のないシフト。
  • 休憩:こまめな休憩と水分補給。暑い時期・寒い時期は特に。
  • 環境:段差の解消、滑りにくい床、明るい照明など、転倒を起こしにくい現場づくり。
  • 体調の確認:始業前の声かけと体調確認を、習慣として組み込む。
  • 両立支援:治療と仕事を両立する人への配慮を、制度として整える。

これらは、高年齢の隊員を守ると同時に、人材の定着にもつながります。安全と定着は、別々の課題ではありません。

まとめ
  • 警備業の被災者は60歳以上が57.0%、65歳以上で43.9%と、高齢化が際立つ。
  • 転倒・熱中症・腰痛は加齢の影響を受けやすい。ただし経験は現場の財産。
  • 2026年4月から高年齢労働者への配慮が全企業の努力義務に(エイジフレンドリー)。
  • 配置・休憩・環境整備・体調確認は、安全と人材の定着の両方に効く。

おわりに

警備業の高齢化は、課題であると同時に、経験豊かな人材に支えられているという強みの裏返しでもあります。その担い手が安全に働き続けられる環境を整えることは、隊員のためであり、人手不足に向き合う会社のためでもあります。何から手をつければよいか迷うときは、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 警備業はどのくらい高齢化していますか。

令和7年の労働災害の被災者では、60歳以上が57.0%、65歳以上が43.9%、75歳以上が15.9%を占めます。担い手が高年齢層に偏っていることの反映でもあります。

Q2. なぜ高齢だと災害が増えるのですか。

加齢でとっさのバランスや回復力、暑さへの耐性に個人差が大きくなるためです。転倒・熱中症・腰痛は影響を受けやすい災害です。ただし経験に裏打ちされた判断力は現場の財産です。

Q3. エイジフレンドリーとは何ですか。

高年齢労働者が安全に働けるよう配慮する考え方です。2026年4月からは、高年齢労働者や治療と仕事を両立する人への配慮が、全企業の努力義務となりました。

Q4. 会社は何ができますか。

体力・体調に応じた配置、こまめな休憩、段差解消などの環境整備、始業前の体調確認です。これらは安全と人材の定着の両方につながります。

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ABOUT THE AUTHOR | 執筆者
真下 恭徳(株式会社キール 代表取締役)

2017年三井住友海上火災保険入社、神奈川県央エリアの専属プロ代理店を担当。2021年AIG損害保険入社、横浜支店ICAとして中小企業のリスクコンサルティングに従事。2026年株式会社キールを設立。高度なリスクコンサルティングを通じて、皆様の安心とこれからの挑戦を支える最高峰のリスクマネジメントを提供している。

法人向けリスクマネジメント
  • 出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」(令和8年5月、労働者死傷病報告。新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害を除く)
  • 参考:高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)、改正労働安全衛生法(高年齢労働者等への配慮の努力義務、2026年4月)/厚生労働省