災害で会社はどれくらい止まるのか ― 事業再開までの時間と、事業継続力強化計画

災害で会社はどれくらい止まるのか ― 事業再開までの時間と、事業継続力強化計画 法人リスクコラム | 自然災害・事業継続
SUMMARY | この記事のまとめ
  • 災害で本当に怖いのは、会社が「壊れる」ことだけではありません。建物が無事でも、ライフラインの停止や取引先の被災で事業が「止まる」ことです。止まる時間が長いほど、信用と資金が削られていきます。
  • だからこそ、被害を防ぐ備えに加えて、「止まった後にどう立て直すか」を決めておくことが重要です。その最初の一歩が、国の認定制度「事業継続力強化計画」です。
  • これは中小企業庁が所管する制度で、本格的なBCPの入口に位置づけられます。認定を受けると、融資・信用保証・税制・補助金加点・損害保険料の割引といった支援につながる場合があります。

このシリーズでは、洪水・内水・地震・土砂・津波と、立地から見える災害リスクを確認してきました。最終回の今回は、その先にある問いです。「もし被災したら、自社はどれくらいの間、止まってしまうのか」。そして、止まる時間を短くするために、今できることをお伝えします。

災害で会社は、「壊れる」より「止まる」

地震や水害というと、建物や設備の損傷を思い浮かべます。しかし実際には、建物が無事でも事業が動かせなくなる事態がよく起こります。電気・通信・水道・ガスといったライフラインが止まれば、多くの仕事は進みません。しかも、これらの復旧には時間差があります。電気は比較的早く戻る一方、水道やガスはより時間がかかる傾向があります。

キールの自然災害リスクチェックツールでは、こうしたライフラインの復旧目安をもとに、拠点ごとの「事業再開までのおおよその時間」を確認できます。「何日止まるか」が見えると、何を優先して備えるべきかが具体的になります。

東日本大震災の関連倒産のうち、取引先の被災などによる「間接被害」
約9
帝国データバンクの調査によれば、東日本大震災の関連倒産は約9年間の累計で2,000件を超え、その多くが、自社の直接被災ではなく、取引先の被災など間接的な影響によるものでした。自社が無事でも、サプライチェーンを通じて事業が止まり得ることを示しています。
出典:株式会社帝国データバンク「東日本大震災関連倒産」調査

つまり、「自社の建物が壊れなければ大丈夫」とは言い切れません。止まる原因は、自社の外にもある。だからこそ、自社単独の備えだけでなく、止まった後にどう動き、どう取引先とつながり続けるかまで考えておく必要があります。

「取り組みやすいBCP」としての事業継続力強化計画

事業を止めないための計画づくりは大切ですが、本格的なBCP(事業継続計画)は、策定に手間も時間もかかります。中小企業では、そこで足が止まりがちです。その入口として国が用意しているのが、「事業継続力強化計画」の認定制度です。

これは中小企業庁が所管し、中小企業が作成した防災・減災の事前対策の計画を経済産業大臣が認定する制度で、「取り組みやすいBCP」として位置づけられています。1社で作る「単独型」と、複数社で連携する「連携型」があり、計画の実施期間は最大3年。申請は電子申請システムから行います。

認定を受けた中小企業は、次のような支援につながる場合があります。

金融支援日本政策金融公庫による低利融資や、信用保証協会による別枠の保証など。計画の実行に必要な資金面の後押しになります。
税制措置計画に位置づけた防災・減災のための設備投資について、税制上の優遇(特別償却)を受けられる場合があります。
補助金の加点ものづくり補助金など、一部の補助金の審査で加点の対象となる場合があります。
損害保険料の割引等計画策定にあわせた損害保険料の割引などが、制度の活用メリットとして案内されています。リスクの移転(保険など)は、計画の正規の構成要素の一つです。

これらの優遇は、要件・対象・期限が毎年見直され得ます。検討の際は、必ず中小企業庁などの最新の公式情報を確認し、税制や融資・補助金の可否については税理士・金融機関等の専門家にご相談ください。

認定は、ゴールではなく入口です。大切なのは認定ロゴを得ることではなく、計画づくりの過程で「自社はどんなリスクを抱え、止まったときに何を優先するのか」を自分たちの言葉で整理することです。その整理こそが、いざというときに会社と従業員を守ります。

キールの伴走 ― 中立の診断から、認定取得の支援まで

キールは、ISO31000をベースにしたリスクコンサルティングの立場から、計画づくりを中立的にお手伝いしています。立地ハザードの確認から、初動対応、ヒト・モノ・カネ・情報の備えの整理、そして事業継続力強化計画の申請実務の伴走(認定取得の支援)まで。特定の商品をすすめるのではなく、自社にとって必要な備えを、優先順位をつけて一緒に考えます。

POINT | まとめ
  • 災害で会社は「壊れる」だけでなく「止まる」。東日本大震災の関連倒産は約9割が取引先被災などの間接被害だった。
  • 本格BCPの入口として、国の認定制度「事業継続力強化計画」がある。経済産業大臣が認定し、融資・税制・補助金加点・損保料割引などにつながる場合がある。
  • 優遇の要件・期限は毎年見直され得るため最新の公式情報を確認。認定はゴールでなく入口。キールが中立の診断から認定取得の支援まで伴走する。

本記事は、自然災害リスクと事業継続に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品その他の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。事業継続力強化計画の認定は経済産業大臣によるものであり、キールが認定を保証するものではありません。優遇措置(融資・信用保証・税制・補助金・保険料割引等)の内容や要件・期限は改定され得ます。税務・融資・補助金の可否は個別事情により異なるため、最新の公式情報をご確認のうえ、税理士・金融機関等の専門家にご相談ください。

「うちは何日止まるのか」を確かめ、止まらない備えへ

まずはツールで、拠点ごとの災害リスクと事業再開までの目安を確認。そのうえで、事業継続力強化計画の取得を含む備えについて、お気軽にご相談ください。ご相談は無料です。

平日 9:00〜18:00。事業継続力強化計画の認定取得の支援に対応しています。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 事業継続力強化計画とは何ですか。

中小企業が作成した防災・減災の事前対策の計画を、経済産業大臣が認定する国の制度です。中小企業庁が所管しており、本格的なBCPの入口として「取り組みやすいBCP」と位置づけられています。1社で作る単独型と、複数社で連携する連携型があります。

Q2. BCPとは何が違いますか。

BCP(事業継続計画)には公的な認定制度がありませんが、事業継続力強化計画は国の認定制度です。様式が比較的シンプルで取り組みやすく、認定を受けると融資・税制・補助金加点などの支援につながる場合がある点が特徴です。将来的に、より本格的なBCPへ発展させていく土台にもなります。

Q3. 認定を受けると、どんなメリットがありますか。

日本政策金融公庫の低利融資や信用保証の特例、防災・減災設備への税制優遇(特別償却)、一部補助金の加点、損害保険料の割引などにつながる場合があります。ただし要件・対象・期限は毎年見直され得るため、最新の公式情報の確認と、税理士・金融機関等への相談が必要です。

Q4. どう進めればよいですか。キールは何をしてくれますか。

まず自社の立地リスクと「止まる時間」を確認するところから始めると、計画の中身が具体的になります。キールは、ISO31000をベースにリスクを中立的に整理し、計画策定から申請実務の伴走(認定取得の支援)までお手伝いします。認定そのものは経済産業大臣が行うため、キールが認定を保証するものではありません。

ABOUT THE AUTHOR | 執筆者
真下 恭徳(株式会社キール 代表取締役)

2017年三井住友海上火災保険入社、神奈川県央エリアの専属プロ代理店を担当。2021年AIG損害保険入社、横浜支店ICAとして中小企業のリスクコンサルティングに従事。2026年株式会社キールを設立。ISO31000をベースにした高度なリスクコンサルティングを通じて、皆様の安心とこれからの挑戦を支えるリスクマネジメントを提供している。

法人向けリスクマネジメント
  • 事業継続力強化計画の制度概要・認定主体・優遇措置:中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」
  • 災害関連倒産:株式会社帝国データバンク「東日本大震災関連倒産」調査
  • 事業再開・ライフライン復旧の目安:自然災害リスクチェックツール(公的データに基づく試算)
  • 本記事の制度内容・数値は上記資料に基づくものです。優遇措置の要件・期限等は改定され得ます。最新かつ正確な情報は、中小企業庁等の公表資料をご確認ください。