法人リスクコラム | 自然災害・事業継続
- 地震は、水害や土砂災害と違って「うちは大丈夫」という地域がほぼない、全国共通・全業種共通のリスクです。首都直下地震の30年確率は70%程度、南海トラフ地震も高い評価です。
- 同じ揺れでも「揺れやすさ」は地盤によって場所ごとに変わります。柔らかい地盤では揺れが増幅され、さらに液状化や、高層階で大きく揺れる長周期地震動といった、立地・建物に固有のリスクも生じます。
- キールのツールは、防災科学技術研究所のJ-SHISと連携し、拠点の揺れやすさと、今後30年でその場所が震度6弱以上に見舞われる確率を住所だけで確認できます。
「最近、大きな地震が来ていないから」——その感覚は、残念ながらリスクの目安にはなりません。地震は、いつ・どこで起きるかを言い当てられない災害です。だからこそ、「自社の建つ場所が、どれくらい揺れやすく、どんな揺れ方をするのか」を知っておくことに意味があります。本記事では、揺れやすさの正体から、見落とされがちな液状化・長周期地震動・二次災害まで掘り下げます。
地震は、全国共通・全業種共通のリスク
水害や土砂災害は、立地によって「ほぼ無関係」と言える会社もあります。しかし地震は違います。政府の地震調査委員会は、近い将来に発生が懸念される大規模地震として南海トラフ地震や首都直下地震などを挙げ、いずれも発生確率が高いと評価しています。
出典:地震調査研究推進本部(地震本部)
「海溝型」と「内陸(活断層)」の2種類がある
大地震には、起き方の違う2タイプがあります。この違いを知ると、自社のリスクの見え方が変わります。
南海トラフ地震のように、海側のプレートの沈み込みで起こる地震。規模が大きく、広い範囲が長く強く揺れ、津波を伴います。沿岸から内陸まで、広域に影響します。
陸地の地下にある活断層がずれて起こる地震。規模は海溝型より小さくても、震源が浅く真下のため、局所的に非常に激しい揺れになります。活断層は全国各地に潜み、「想定されていなかった」とされる地域を襲う例も繰り返されてきました。
「ここは地震が少ない」という思い込みこそ、最も注意すべきものかもしれません。
同じ地震でも、「揺れやすさ」は場所で変わる
意外に知られていないのが、同じ規模の地震でも揺れの大きさは場所ごとに違うということです。鍵を握るのは地盤です。
かつての河川敷や埋立地、谷を埋めた造成地などの柔らかい地盤は、硬い地盤に比べて揺れが大きくなりやすい性質があります。隣町と自社で、体感する揺れが変わることも珍しくありません。古い地名(沼・谷・川などを含む)が、地盤の成り立ちのヒントになることもあります。
市町村単位の大まかな情報ではなく、自社の建つ地点の揺れやすさを知ることで、耐震や設備固定といった対策の優先度を、より具体的に判断できます。
キールのツールは、防災科学技術研究所のJ-SHIS(地震ハザードステーション)と連携し、拠点の揺れやすさと、今後30年でその場所が震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示します。これは、国の研究機関が公開している確率論的な予測に基づくものです。
揺れだけではない ― 地震に伴う2つのリスク
地震被害は「揺れ」だけではありません。立地や建物によっては、次の2つも大きな影響を及ぼします。
埋立地や旧河道、砂を多く含む地盤では、強い揺れで地盤が一時的に泥水のようになる「液状化」が起こることがあります。建物が傾く、地中の水道・ガス管が壊れる、駐車場やマンホールが浮き上がる——といった被害につながり、建物自体が無事でも事業の再開を妨げます。臨海部や河川沿いに拠点がある場合は要確認です。
規模の大きな地震では、ゆっくりとした大きな揺れ(長周期地震動)が遠くまで伝わり、高層ビルの上層階を長時間、大きく揺らすことがあります。家具やコピー機、サーバーラックの転倒・移動、エレベーターの停止などにつながります。オフィスが高層階にある企業は、固定対策を見直しておきたいところです。
揺れの「後」に起きる二次災害
地震は、揺れが収まってからも危険が続きます。代表的なのが火災(電気の復旧時に起こる通電火災を含む)、ブロック塀や什器の転倒、エレベーターの閉じ込めです。出火を防ぐ感震ブレーカー、什器・棚の固定、避難経路の確保は、いずれも低コストで効果の高い備えです。
知ったうえで、何をするか
地震対策は、順序で考えると進めやすくなります。
- 地震は全国共通・全業種共通のリスク。首都直下地震の30年確率は70%程度、南海トラフ地震も高い評価。海溝型と内陸(活断層)の2タイプがある。
- 揺れやすさは地盤で場所ごとに変わる。さらに液状化(臨海部・河川沿い)や長周期地震動(高層階)など、立地・建物に固有のリスクもある。
- ツールはJ-SHISと連携し、拠点の揺れやすさと30年・震度6弱以上の確率を表示。数字に振り回されず、初動・二次災害対策・立て直しの備えを順序立てて。
本記事は、自然災害リスクと事業継続に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品その他の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。地震の発生確率や揺れの予測は公的機関による想定であり、実際の被害を保証・否定するものではありません。地震による損害が補償されるかは契約内容により異なります。個別の判断は、各分野の専門家にご確認ください。
あなたの拠点の「揺れやすさ」を、住所で確かめる
会社の住所を入れるだけで、その場所の揺れやすさと、今後30年で震度6弱以上に見舞われる確率(J-SHIS連携)を確認できます。登録不要・約3分。
よくあるご質問(FAQ)
おすすめしません。地震は確率が比較的低い場所でも発生し得ますし、活断層による内陸地震は全国に潜んでいます。「揺れやすさ」と「30年確率」を確認したうえで、優先順位をつけて備えるのが現実的です。
主に地盤です。かつての河川敷や埋立地、谷を埋めた造成地などの柔らかい地盤は、硬い地盤よりも揺れが大きくなりやすい傾向があります。だからこそ、市町村単位ではなく住所単位での確認が役立ちます。
強い揺れで地盤が一時的に泥水のようになる現象です。埋立地や旧河道、砂を多く含む地盤で起きやすく、建物の傾きや、地中の水道・ガス管の損傷につながります。臨海部や河川沿いの拠点では確認しておきたいリスクです。
建物の耐震性は高いことが多い一方、規模の大きな地震では長周期地震動により、上層階が長く大きく揺れることがあります。家具・コピー機・サーバーラックの固定や、エレベーター停止への備えを見直しておくと安心です。
その地点が今後30年のあいだに震度6弱以上の揺れに見舞われる可能性を、防災科学技術研究所J-SHISが確率論的に示したものです。低い値でも「起きない」という意味ではない点に注意が必要です。
いいえ。火災(電気の復旧時に起こる通電火災を含む)、ブロック塀や什器の転倒、エレベーターの閉じ込めなど、二次災害が続きます。感震ブレーカーや什器固定など、低コストで効果の高い備えから始めるのがおすすめです。
人命と建物を守る備え(耐震化・設備の固定・安否確認の手順)が最優先です。そのうえで、二次災害の防止、残る損害への備え、揺れの後に事業を立て直す計画づくりへと進めます。キールはこの整理を中立的にお手伝いしています。
- 地震の発生確率:地震調査研究推進本部(地震本部)「長期評価」。南海トラフ地震の確率は2025年9月に算出方法を見直し、複数の値が示されています。
- 揺れやすさ・30年震度6弱以上の確率:防災科学技術研究所 J-SHIS(地震ハザードステーション)
- 液状化・長周期地震動の解説:国土交通省・気象庁等の公表資料
- 本記事の数値は上記資料に基づく概数です。最新かつ正確な情報は、各公表資料をご確認ください。

