梅雨入り、会社の備えは大丈夫?中小企業の水害リスクとBCP

梅雨入り、会社の備えは大丈夫?中小企業の水害リスクとBCP

SUMMARY 記事のまとめ

2026年6月、関東甲信も梅雨入りしました。梅雨は毎年のことですが、近年は短時間の集中豪雨が増え、事業所の浸水や工程の遅れなど、事業へのリスクも見過ごせません。本記事では、梅雨が中小企業の事業にもたらすリスクをISO 31000の視点で整理し、今週からでも始められる備えを、建設業・製造業・運輸業の現場目線でご紹介します。煽るためではなく、落ち着いて手を打つための材料としてお役立てください。

2026年も、梅雨の季節がやってきました

気象各社の情報によると、2026年は関東甲信地方でも6月7日〜8日頃に梅雨入りとなり、平年並みの時期となりました。梅雨入りの早い段階から雨の降り方に注意が必要とされ、雨のピークを迎える6月下旬には、梅雨前線の活動が活発になり、強い雨や大雨となるおそれも指摘されています。

梅雨は毎年めぐってくる季節です。ただ、近年は短時間に局地的な大雨が降る傾向が強まり、「これくらいの雨なら大丈夫」という従来の感覚が通用しにくくなってきました。毎年のことだからこそ、少し立ち止まって、自社の備えを見直す機会にしていただければと思います。

梅雨が「事業」にもたらすリスクを整理する

POINT

梅雨のリスクは「足元が滑る」だけではありません。事業の視点で見ると、いくつかの異なるリスクが重なっています。一つずつ切り分けて眺めてみましょう。

梅雨というと、つい「傘」「足元注意」といった個人の話を思い浮かべがちです。けれど、事業を預かる立場で見ると、梅雨はいくつかの異なるリスクを連れてきます。国際規格 ISO 31000 のリスクマネジメントの考え方を借りて、整理してみます。

リスクの種類 梅雨・豪雨で起こりうること
浸水・被災リスク 事業所・工場・倉庫の浸水。設備や在庫、書類・データが水に浸かり使えなくなる
工程・納期リスク 建設現場の作業中断、屋外工程の遅れ。配送の遅延やルートの寸断
品質・衛生リスク 湿気による原材料・製品の劣化やカビ。食品を扱う事業では食中毒リスクも
移動・安全リスク 視界不良やスリップによる通勤・運行中の事故。従業員の安全確保

こうして並べてみると、梅雨のリスクが単なる「天気の問題」ではなく、設備・在庫・工期・品質・人の安全という、事業のあらゆる面に関わっていることが見えてきます。すべてに一度に対応する必要はありません。自社にとって何が一番痛いかを考えるところから始めれば十分です。

今週からできる、梅雨の備え

POINT

大がかりな設備投資の前に、まず「知る」「確かめる」だけでもリスクは下げられます。お金をかけずにできることから始めましょう。

国土交通省や損害保険会社などが公開している企業向けの水害対策を参考に、無理なく始められる順に整理しました。できそうなものから、一つずつで構いません。

1
ハザードマップで自社拠点の危険度を知る(費用ゼロ)

まずは、事業所・工場・倉庫が、洪水や内水氾濫でどの程度浸水しうる場所なのかを確認します。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」や、お住まいの自治体のハザードマップで調べられます。「知っておく」だけで、いざというときの判断が大きく変わります。

2
大切なものの「置き場所」を見直す

浸水のおそれがある拠点では、サーバーや電気設備、重要書類、傷みやすい在庫を、可能な範囲で高い場所へ移すだけでも被害を減らせます。コンセントの位置や、水が入りやすい出入口の把握も、お金をかけずにできる確認です。

3
連絡・出社の判断ルールを決めておく

大雨が予想されるとき、誰がどう判断し、どう従業員に伝えるか。安否確認の方法や、無理な出社・運行をさせない基準を、梅雨入りのいまのうちに決めておくと、当日あわてずに済みます。従業員の安全は、何よりの優先事項です。

4
止水板・土のうなどの物理対策と、残るリスクへの備え

浸水リスクの高い拠点では、止水板や土のう、防水扉といった物理的な対策も有効です。そのうえで、対策を講じてもなお残る被害(設備の損害や事業の中断など)に対しては、「リスクの移転(保険など)」も選択肢の一つとして組み合わせておくと、安心につながります。

「事業を止めない」という視点へ

これらの備えは、一つひとつは小さなことに見えるかもしれません。けれど、その積み重ねが、いざ大雨に見舞われたときに事業を止めない力になります。これは、自然災害などに備えて事業の継続力を高める「事業継続力強化計画(BCP)」の考え方そのものでもあります。梅雨入りのいまは、こうした備えを見直す、よいきっかけになる時期です。

毎年やってくる梅雨という「向かい風」も、備えがあれば、過度に恐れる必要はありません。株式会社キールは「向かい風を、推進力へ」をフィロソフィーに掲げ、ISO 31000の考え方に基づくリスクマネジメントで、中小企業の皆さまの事業継続を支えています。「自社は何から備えればいいだろう」と迷われたら、一緒に整理するお手伝いができればと思います。

FOR CORPORATE

梅雨・自然災害への備えを、一緒に見直しませんか

自社拠点の水害リスクの把握から、事業を止めないための備えまで。何から手をつければいいか分からない段階でも構いません。リスクの専門家がご相談を承ります。

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よくあるご質問(FAQ)

Q1. 自社のある場所が浸水しやすいか、どこで調べられますか?

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で、全国の洪水・内水・高潮などの浸水想定を地図で確認できます。お住まいの市区町村が公開しているハザードマップでも、より地域に即した情報が得られます。まずは事業所・工場・倉庫の住所で確認してみてください。費用はかかりません。「知っておく」ことが、すべての備えの出発点になります。

Q2. 大きな設備投資はすぐにできません。お金をかけずにできることはありますか?

はい、たくさんあります。ハザードマップでの危険度確認、大切な設備や在庫を高い場所へ移すこと、大雨時の連絡・出社ルールを決めておくこと——これらはいずれも費用をかけずに取り組めて、被害を減らす効果が期待できます。物理的な対策や保険による備えは、その次の段階として、自社の状況に応じて検討すれば十分です。まずはできることから一つずつ進めていきましょう。

Q3. 水害の被害は、保険で備えられますか?

水害による建物や設備、在庫などの損害については、火災保険の水災に関する補償や、事業の中断に備える保険など、いくつかの備え方があります。ただし、補償の対象や条件は契約内容によって異なります。大切なのは、まず自社がどんな水害リスクを抱えているかを把握し、ハザードマップの確認や浸水対策といった「リスクの低減」を行ったうえで、どうしても残る部分に「リスクの移転(保険など)」を組み合わせる、という順序で考えることです。何にどう備えるべきか迷われる場合は、リスクの専門家にご相談ください。


ABOUT THE AUTHOR 執筆者

真下 恭徳 (株式会社キール 代表取締役)
2017年三井住友海上火災保険入社、神奈川県央エリアの専属プロ代理店を担当。2021年AIG損害保険入社、横浜支店ICAとして中小企業のリスクコンサルティングに従事。2026年株式会社キールを設立。高度なリスクコンサルティングを通じて、皆様の安心とこれからの挑戦を支える最高峰のリスクマネジメントを提供している。