データで見る健康経営の5年間──神奈川2.2倍、建設業が全国最多
- 認定企業一覧5年分(延べ8万件超)を当社が独自集計。中小規模法人部門の認定は2022年の12,254社から2026年の23,077社へ、約1.9倍に拡大しました。
- 神奈川県は287社から629社へ約2.2倍。全国の伸びを上回るペースで、都道府県別では全国10位です。
- 業種別の最多は建設業の5,562社(5年で約2.1倍)。製造業5,238社と合わせ、2業種で全国の認定の46.8%を占めます。
- 上位認定でも建設業は存在感を増しており、「同業がやっているか」の答えは、多くの業種ですでに「やっている」になりつつあります。
連載第4回は、数字の話です。健康経営優良法人の認定企業は、毎年その全社名が一覧として公表されています。当社はこの公表一覧の5年分(2022〜2026、ブライト500・ネクストブライト1000を含む延べ8万件超)を取得し、法人単位で名寄せして独自に集計しました。見えてきたのは、想像以上のスピードで進む「普及の実像」です。
1. 全国:5年で約1.9倍。年3〜4千社ペースで増え続けている
| 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 全国 | 12,254 | 14,007 | 16,716 | 19,828 | 23,077 |
| 神奈川県 | 287 | 348 | 448 | 528 | 629 |
全国の認定は毎年3,000〜4,000社ずつ積み上がり、一度も減速していません。Vol.1で見たとおり、それでも中小企業全体に占める割合は0.69%。「増え続けているのに、まだ少数派」──この2つが同時に成り立つ、いまが過渡期です。
2. 神奈川:全国を上回る2.2倍ペース
神奈川県の伸び率は約2.2倍で、全国平均(約1.9倍)を上回ります。2026年の629社は都道府県別で全国10位。トップは大阪府(2,659社)、次いで愛知県(2,385社)、東京都(1,737社)と続きます。
興味深いのは、認定数が必ずしも企業数の多さと一致しないことです。東京都より大阪府・愛知県の方が多い──つまり、地域の商工会議所や金融機関、自治体がどれだけ健康経営を後押ししているかが、認定数を左右しています。神奈川の伸びも、県内の支援機運の高まりを映したものと読めます。私たちの拠点である大和市を含む県央エリアでも、この2年で認定企業を見かける機会がはっきり増えました。
3. 業種:建設業が5,562社で全国最多
| 業種 | 2022 | 2026 | 5年の伸び |
|---|---|---|---|
| 建設業 | 2,594 | 5,562 | 約2.1倍 |
| 製造業 | 2,544 | 5,238 | 約2.1倍 |
| 卸売業 | 852 | 1,875 | 約2.2倍 |
| 運輸業 | 1,014 | 1,649 | 約1.6倍 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 950 | 1,529 | 約1.6倍 |
最多は建設業。製造業と合わせた2業種で、全国の認定の46.8%を占めます。建設業がここまで多い背景には、業界固有の事情があると考えられます。深刻な人手不足と若手採用の競争、そして自治体の入札や経営事項審査で健康経営認定を加点対象とする動きが広がっていることです。「現場の担い手を守る会社」であることが、受注と採用の両方で意味を持つ業界だからこそ、認定が実利として機能しています。
上位認定を見ても構図は同じです。2026年のブライト500には建設業から90社、製造業から130社。ネクストブライト1000には建設業183社・製造業262社が入っています。「同業他社はやっているのか」という問いの答えは、少なくとも建設・製造では、もう「やっている」です。
4. この数字を、どう読むか
集計値を読む上での前提も添えておきます。第一に、認定数の増加は「申請した会社が増えた」ことの反映であり、各社の取り組みの質を直接示すものではありません。第二に、各年の数値は公表時点の在籍数であり、認定の返上・取消等で事後に変動することがあります。第三に、業種区分は公表一覧の分類に準拠しており、粒度には限界があります。
それでも、5年間一度も減速していない曲線と、業種・地域を問わない広がりは、一つの事実を示しています。健康経営は、先進企業の実験から、中小企業の標準装備へと移行する途中にあるということです。
5. まとめ──数字は「まだ間に合う」と言っている
全国1.9倍、神奈川2.2倍、建設業5,562社。増加は続いていますが、全体で見ればまだ0.69%。普及が進みきる前のいまは、認定が差別化として最も効く時期です。
次回はいよいよ最終回。2027認定への逆算スケジュール──いつまでに何を始めれば間に合うのかを、申請実務の時間軸で解説します。
- Vol.1 なぜ今、中小企業にこそ健康経営なのか
- Vol.2 健康経営優良法人2027はどう変わるのか
- Vol.3 健康経営に活用できる公的支援制度
- Vol.4 データで見る5年間(本記事)
- Vol.5 2027認定への逆算スケジュール(8/7公開予定)
キールは、公表データの独自集計と最新の制度動向をもとに、貴社の業種・地域の実情に即した健康経営の進め方をご提案します。同業の動きが気になった方は、お気軽にご相談ください。
キールに相談するよくある質問
経済産業省・日本健康会議が公表している健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定法人一覧5年分(2022〜2026)です。ブライト500・ネクストブライト1000を含む全シートを、法人番号を用いて名寄せ・重複除外のうえ当社が集計しました。
深刻な人手不足による採用競争に加え、自治体の入札や経営事項審査で健康経営認定を加点対象とする動きが広がっており、認定が受注と採用の両面で実利を持つ業界であることが背景と考えられます。
総数は増えていますが、中小企業全体に占める割合はまだ0.69%です。当面は「取っていることが差別化になる」段階が続き、その先は「取っていないことが目立つ」段階に移ると見ています。いずれにせよ、早い着手が有利です。
2026年8月17日に公開予定の当社の無料セルフチェックツールで、都道府県と業種を選ぶだけで5年分の推移を確認できます。あわせて認定要件の充足状況も診断できます。
出典:健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定法人一覧 2022〜2026(経済産業省・日本健康会議公表。ブライト500・ネクストブライト1000を含む)をキールが集計。法人番号による名寄せ・重複除外を実施。各年の数値は公表時点の在籍数であり、認定の返上・取消等により変動する場合があります。業種区分は公表一覧の分類に準拠しています。本記事は一般的な情報提供を目的とするものです。

