あなたの会社の住所、災害リスクを3分で診断できます ― 中小企業の自然災害リスク入門

あなたの会社の住所、災害リスクを3分で診断できます ― 中小企業の自然災害リスク入門 法人リスクコラム | 自然災害・事業継続
SUMMARY | この記事のまとめ
  • 自然災害のリスクは、業種や規模よりもまず「どこに事業所があるか(立地)」で大きく変わります。同じ市内でも、川沿いと高台ではまったく違います。
  • その立地リスクは、会社の住所を入れるだけで把握できます。キールの「自然災害リスクチェックツール」は、洪水・内水・土砂・津波・高潮・地震の6つを、登録不要・約3分でまとめて確認できます。
  • 中小企業のBCP(事業継続計画)策定率は約17%。8割超が未策定の今、いきなり大きな計画を作る前に、まず自社の立地リスクを知ることが、最も小さく確実な第一歩になります。

災害対策と聞くと、備蓄や避難訓練を思い浮かべるかもしれません。けれど、その前にやるべきことがあります。自社の事業所が、そもそもどんな災害にさらされる場所にあるのかを知ることです。これは住所さえあれば3分で分かります。本記事では、なぜ立地リスクを最初に確認すべきか、そして何が分かるのかをお伝えします。

災害リスクは、立地で決まる

同じ町に建つ2つの会社でも、片方は川のそば、もう片方は高台にある——それだけで、洪水で受ける影響はまるで違います。地震の揺れやすさも、地盤によって場所ごとに変わります。災害リスクは「どんな会社か」より先に、「どこにあるか」で大きく決まるのです。

ハザードマップは自治体ごとに公開されていますが、自社の拠点が具体的にどの区域に当たるのかを、住所単位できちんと確認できている中小企業は多くありません。日々の業務に追われ、優先順位が後回しになりがちなためです。

「いつかやる」のままでは、備えは進まない

事業を止めないための計画として、近年BCP(事業継続計画)の重要性が広く語られるようになりました。しかし、中小企業での取り組みは、まだ大きく遅れているのが実態です。

中小企業のBCP(事業継続計画)策定率
17.1
全体では初めて2割を超えたものの、大企業(38.7%)との差はむしろ拡大し、21.6ポイントに。中小企業の8割超は、いまだBCPを策定していません。
出典:株式会社帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2025年)」

同じ調査では、策定が進まない理由として「策定に必要なスキル・ノウハウがない」「人材や時間を確保できない」が上位に挙がっています。中小企業ではこれに加えて「必要性を感じない」「費用が確保できない」という声も目立ちます。つまり、多くの会社にとってBCPは「重要だと分かっていても、いきなりは手をつけにくいもの」になっているのです。

だからこそ、最初の一歩は軽いほうがいい。自社の立地に何のリスクがあるかを3分で知る——ここから始めれば、何に優先して備えるべきかが具体的に見えてきます。

一度に分かる、6つの災害

キールの「自然災害リスクチェックツール」は、会社の住所を入れるだけで、次の6つの災害リスクをまとめて診断します。会社名や個人情報の入力は不要、登録もいりません。最大5拠点まで並べて比較できます。

洪水(河川氾濫)川があふれたときの浸水想定。深さや、どの川が影響するかを確認します。
内水(雨水出水)川の氾濫とは別に、排水が追いつかず街なかで水があふれるリスク。見落とされがちですが、被害は少なくありません。
土砂災害がけ崩れや土石流などの警戒区域に該当するかを確認します。
津波沿岸部での津波による浸水想定。沿岸に拠点がある企業は要確認です。
高潮台風などによる海面上昇で、沿岸の低い土地が浸水するリスクです。
地震その場所の「揺れやすさ」と、今後30年で一定以上の震度に見舞われる確率を示します。全国どこでも関わる、全業種共通のリスクです。

これらの判定は、国土地理院や、国土交通省の「重ねるハザードマップ」、防災科学技術研究所のJ-SHISといった公的データに基づいています。診断結果は地図上にも表示され、A4で印刷できるリスクレポートとして手元に残せます。

このツールは、不安を煽るためのものではありません。大切なのは「該当する/しない」で一喜一憂することではなく、自社にとって優先度の高いリスクから順に、落ち着いて備えていくことです。「該当なし」と出ても、それは“安全の保証”ではありません。想定が及ばないリスクもあるという前提で、冷静に見ていきます。

知ったあとに、何をするか ― 次の一手

リスクを知ることは、目的ではなく出発点です。診断のあとは、次の順序で考えると整理しやすくなります。

リスクの低減まずは被害そのものを小さくする工夫。設備の固定、浸水対策、データのバックアップなど、できることから。
残るリスクへの備え工夫を尽くしても残る損害に備える手段(リスクの移転=保険など)を、自社の実態に合わせて整理します。
事業を止めない計画づくり災害時に何を優先して動かすかを決めておく。その入口として、国の認定制度「事業継続力強化計画」があります。

この「事業継続力強化計画」は、中小企業庁が所管する国の認定制度で、取り組みやすいBCPの入口として位置づけられています。本シリーズの最終回(金曜)で、災害で会社がどれくらい止まるのかという話とあわせて、詳しくお伝えします。

POINT | まとめ
  • 災害リスクは「どんな会社か」より先に「どこにあるか(立地)」で大きく決まる。まず自社の立地を知ることが出発点。
  • 中小企業のBCP策定率は約17%。いきなり大きな計画を作るより、住所を入れて3分でリスクを把握する一歩から。
  • 洪水・内水・土砂・津波・高潮・地震の6つを一度に診断。「該当なし=安全」ではない前提で、優先順位をつけて備える。

本記事は、自然災害リスクと事業継続に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品その他の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。ハザードの判定はあくまで公的データに基づく想定であり、実際の被害を保証・否定するものではありません。個別の判断は、お住まいの自治体の防災担当や各分野の専門家にご確認ください。

まずは、会社の住所でリスクを確かめてみませんか

会社の住所を入れるだけで、6つの災害リスクと、災害時に事業がどれくらい止まりうるかの目安まで分かります。登録不要・約3分・最大5拠点まで比較できます。

入力は住所のみ。会社名・氏名の登録は不要です。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 診断に、会社名や個人情報の入力は必要ですか。

いいえ。入力するのは拠点の住所のみで、会社名や氏名の登録は不要です。所要時間は約3分、最大5拠点まで並べて比較できます。

Q2. 「該当なし」と表示されれば、安心してよいですか。

いいえ。ハザードマップは想定に基づくもので、排水が追いつかず街なかで起こる内水(雨水出水)など、想定が及びにくいリスクもあります。本ツールは「該当なし=安全ではない」という考え方に立ち、想定外にも目を向けたうえで、優先順位をつけて備えることをおすすめしています。

Q3. どんな災害が分かりますか。データの根拠は何ですか。

洪水・内水・土砂災害・津波・高潮・地震の6種類を診断します。判定は、国土地理院、国土交通省「重ねるハザードマップ」、防災科学技術研究所のJ-SHISといった公的データに基づいています。

Q4. 診断のあとは、何をすればよいですか。

まず被害を小さくする工夫(リスクの低減)、次にそれでも残る損害への備え(リスクの移転=保険など)、そして事業を止めないための計画づくり、という順序が整理しやすいです。キールは、この洗い出しから中立的にお手伝いしています。計画づくりの入口としては、国の認定制度「事業継続力強化計画」があります。

ABOUT THE AUTHOR | 執筆者
真下 恭徳(株式会社キール 代表取締役)

2017年三井住友海上火災保険入社、神奈川県央エリアの専属プロ代理店を担当。2021年AIG損害保険入社、横浜支店ICAとして中小企業のリスクコンサルティングに従事。2026年株式会社キールを設立。ISO31000をベースにした高度なリスクコンサルティングを通じて、皆様の安心とこれからの挑戦を支えるリスクマネジメントを提供している。

法人向けリスクマネジメント
  • BCP策定率:株式会社帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2025年)」
  • 事業継続力強化計画:中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」
  • ハザード判定の根拠データ:国土地理院/国土交通省「重ねるハザードマップ」/防災科学技術研究所 J-SHIS
  • 本記事の数値は上記資料に基づく概数です。最新かつ正確な情報は、各公表資料をご確認ください。