取引先が倒れたとき、自社に何が起きるか。下半期に入る前に
2026年上半期の企業倒産は5,346件。上半期として5,000件を超えたのは12年ぶりで、5年連続の増加です。建設業は1,026件と、こちらも12年ぶりに1,000件台に乗りました。
そして倒産の約9割が従業員10人未満の企業です。規模の小さい会社ほど、影響を受けています。
自社が倒れないことと、取引先が倒れないことは別です。売掛金の回収不能、仕入先の停止、現場の中断。10月からの下半期に入る前に、取引先の依存度だけでも確認しておく価値があります。
倒産のニュースは、たいてい他人事として読まれます。自社が健全なら、関係のない話に見える。
ただ、倒産が増えるということは、自社の取引先が倒れる確率も上がっているということです。売上を立てている相手、材料を入れてくれている相手、現場を担ってくれている相手。どこか一つが止まったとき、自社の事業がどうなるか。
012026年上半期の数字
東京商工リサーチの集計によると、2026年上半期(1〜6月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)は5,346件、前年同期比7.1%増でした。件数は5年連続で前年を上回り、上半期に5,000件を超えたのは2014年以来12年ぶりです。
| 倒産件数 | 5,346件前年同期比 7.1%増/12年ぶりの5,000件台 |
|---|---|
| 負債総額 | 7,340億8,200万円前年同期比 6.3%増 |
| 建設業 | 1,026件前年同期比 5.8%増/12年ぶりの1,000件台 |
| 従業員10人未満 | 4,844件全体の約9割 |
出典:東京商工リサーチ「2026年上半期(1-6月)全国企業倒産状況」(2026年7月8日発表)
帝国データバンクの集計でも、物価高倒産が556件、人手不足倒産が227件で、いずれも半期ベースで過去最多を更新しています。
倒産企業の8割以上が販売不振を主因としており、そこに物価高、人手不足、資金調達環境の変化が重なっているとされています。急激な変化というより、もともと利益率が低く、価格転嫁が難しい企業への負担が積み上がった結果と見るのが実態に近いようです。
02建設業の1,026件が意味すること
建設業の倒産が12年ぶりに1,000件を超えました。背景には、鉄鋼・木材・コンクリートといった資材価格の上昇、技能労働者の不足、外注費の上昇、就業者の高齢化が重なっているとされます。
この数字が示しているのは、建設業の会社が危ないということだけではありません。建設業と取引している会社にも、影響が及ぶということです。
元請けが倒れれば、下請けの売掛金が回収できません。逆に専門工事業者が倒れれば、元請けは代替の業者を探すことになり、工期が遅れます。警備会社であれば、発注元の建設会社が止まれば、そのまま仕事がなくなります。
03取引先が倒れたとき、何が起きるか
取引先の倒産による影響は、いくつかの層に分かれます。
売掛金が回収できない
最も直接的な影響です。納品済み、作業完了済みなのに、代金が入らない。破産手続きに入れば、一般債権者への配当はごくわずかか、ゼロになることが多いのが実情です。
そして、回収できなかった分は、すでに支払った材料費や人件費の分だけ、純粋な損失になります。売上が大きい取引先ほど、影響も大きい。
仕入先・外注先が止まる
調達していた資材が入らなくなる、任せていた工程が止まる。代替先を探す時間とコストが発生し、その間の納期は自社が負うことになります。
特殊な加工や、特定の資格を要する作業を任せていた場合、代替先がすぐに見つからないこともあります。
発注元が消える
売上の柱になっていた取引先が倒れれば、その分の仕事が丸ごと失われます。一社への依存度が高いほど、影響は深刻です。
これらはいずれも、自社の経営に問題がなくても起きます。だからこそ、自社の財務を見るのと別に、取引先の状況を見ておく必要があります。
04下半期に入る前に、確認しておくこと
与信管理の専門的な仕組みを入れる話ではありません。まず、いまの状態を把握するところからです。
上位3社で売上の何割を占めているか。1社で3割を超えていれば、その1社が止まったときの影響を具体的に想定しておく必要があります。
いま、どの取引先にいくらの売掛金があるか。支払いが遅れ始めている先はないか。サイトが長いほど、倒産時の損失は大きくなります。
その会社が止まったら、自社の業務が止まる。そういう相手がいるかどうか。いるなら、代替先の候補を事前に持っておきます。
支払いの遅延、担当者の離職、発注量の急減、連絡がつきにくくなる。こうした変化を、現場の担当者が気づいても報告しない運用になっていないかを確認します。
これはBCPの一部でもあります
事業継続計画というと、地震や水害への備えを思い浮かべがちです。ただ、事業が止まる原因は自然災害だけではありません。
取引先の倒産によって資材が入らない、工程が止まる、売上が消える。結果として事業が継続できなくなるという点では、災害と同じ構造です。事業継続力強化計画でも、サプライチェーンの把握は要素のひとつとされています。
05残るリスクへの手段
依存度を下げ、代替先を持ち、兆候に気づく。これらを尽くしても、取引先が倒れる可能性そのものをなくすことはできません。
売掛金の回収不能という損害については、取引信用保険という手段があります。取引先の倒産や支払遅延によって生じた売掛債権の損害を対象とするものです。
ただし、すべての取引先が対象になるわけではなく、引受には審査があります。そして順序として先に来るのは、依存度の把握と代替先の確保です。
まとめ
- 2026年上半期の倒産は5,346件。12年ぶりに上半期で5,000件を超え、5年連続の増加です。
- 建設業は1,026件で12年ぶりの1,000件台。倒産の約9割が従業員10人未満の企業です。
- 取引先が倒れると、売掛金の回収不能、仕入先の停止、発注元の消滅という影響が生じます。自社の経営が健全でも起きます。
- 下半期に入る前に、売上の依存度、売掛金の残高、代替の効かない相手、兆候に気づく体制を確認しておく価値があります。
よくあるご質問
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【出典】東京商工リサーチ「2026年上半期(1-6月)全国企業倒産状況」(2026年7月8日発表)/帝国データバンク「倒産集計 2026年上半期報」(2026年7月8日発表)
本記事は2026年9月22日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定の保険商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。債権の管理や税務上の取扱いについては、弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。
